先日、Win個別指導・新知校で、ある中3の生徒から、英語の質問を受けました。
「副詞の最上級に“ the ”を付けない場合って、あるんですか?」
副詞の最上級に the をつけるかどうかについては、突き詰めると多くの事例があり、説明しきれない面も確かにあるのですが、中学生あるいは高校生としては「付けても・付けなくても、どちらでも良い」というのが、覚えるべき結論。つまり「付けないケースもある」ということも、頭に入れておくべき知識です。
どうやら、最近の中2の教科書の「比較級・最上級」の項目には、この「副詞の最上級には“ the“を付けても・付けなくても、どちらでも良い」という解説がきちんと書かれてないようで、現在の中2生は、形容詞・副詞どちらの最上級にも「 the は付けるものだ」という形で学ぶことになっているようです。周りの高校生の塾生にも聞いてみましたが、どうやら高校に入ってから目にする参考書の中で「 He plays tennis ( the ) best. 」と、さりげなく括弧書きになっていることで「省略されることもあるんだ」と初めて気づくケースが多いようでした。
実は本来、副詞の最上級には「 the 」は付かなかったそうです。
その理由は「もともと“ the ”(冠詞)は名詞に付くものであり、名詞を修飾することのない副詞に付くのはおかしい」というもの。確かに、言われてみれば納得ですね。
しかし、形容詞の最上級には「the」を付ける/副詞の最上級には「the」を付けない…という使い分けは、ネイティヴスピーカーにとっても厄介なものだったらしく、ここ約100年の間で、副詞の最上級にも the を付けるケースが、日常会話でも文書でもどんどん増えてきたそうです。そして現在では「付けても・付けなくても、どちらでも良い」というのが文法上の正しいルールとして認められるようになったとの事。
ただ、best や worst といった単語を副詞として使用する場合には、今でも the をつけない方が違和感なく受け止められるみたいで、この点ではやはり「正しい用法をひきずっている」様子が見られるようです。
こうしてみると「言語は時代とともに変わってゆく」という、当然の事実を実感するような気がします。ひょっとして、みなさんの中には「最近覚えた単語の使い方や意味も、やがて変わっていってしまうのか」と心配になってしまう人も居るかもしれませんね(笑)。
ですが、流行語や新語が世の中にどんどん生まれるように、やはり「言葉は生き物」だと私は考えます。
私が中学生の頃の教科書には「 the Internet 」という単語は、まだ英和辞典のどこにも載っていませんでした。それが今では、皆さんにとってもすごく当たり前の単語になっていますよね。これも正に「時代がもたらした(学ぶべき)言語の変化」。そう考えると、変化も意外に楽しく捉えられるのではないでしょうか…?
いま流行っているゲームなどに新しく登場する言葉を友達と共有するように、英語や国語の勉強の中でも「言葉の変化」を楽しめるようになれば、しめたものです。「覚えると楽しい言葉」は、知らないうちに体の中に染み込んでいくような気がしませんか?
これからは、英単語を覚える時には、そのような「体に染み込でいくような感覚」を思い出してもらって、学習に少しでも前向きになってくれたらうれしいです。
奥村先生より